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【イベントレポート】オープンクラウドカンファレンス 2015 (後編) (Cloud Week 2015@Hokkaido University)

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諸般の事情によりイベントから記事公開までの日程が空いてしまいました。申し訳ありません

2015年9月7日(月)~9月9日(水)の3日間、北海道大学にて開催されたCloud Week 2015内で行われた「オープンクラウドカンファレンス 2015」の後半部分をレポートさせて頂く。

前半は各企業からの地方企業向けのサービスの紹介だったが、後半は同様の地方企業向けサービスに加えて、コンテナ型仮想化製品のDocker関連のサービスの発表が行われた。

デバイス&クラウド(Azure)で実現する IoT 最前線

マイクロソフト 関田 文雄さんのご講演
マイクロソフトのパブリッククラウドサービスAzureとマイクロソフトのIoT向けプラットフォームサービスの紹介だ。述べられた概要は以下となる。

Azureは現在、世界19か国にデータセンタを持っている。さらにインド、カナダにもデータセンタを提供を予定している。Azureも各国、地域のデータセンタ間を協力なネットワークで接続しており、システムのDRなどに活用できる。機能の改善やサービスの提供も非常に多く、2014年度は560件以上/年、2015年度は既に240件以上を提供しており、Amazonに負けないくらいのリリース速度を実現している。

IoTはITサービスと組み合わせて利用することが基本だが、マイクロソフトは全てをトータルに提供できる。Windows 10はIoTデバイスへの組み込みも可能で、周辺まで全てWindowsで構築することが可能となっている。さらにビックデータ解析にも力を入れており、HadoopもAzure上でサービスとして提供している。

IoTを利用した事例として、海外でのエレベータの保守サービスの紹介があった。各センサー情報を収集し、エレベータの稼働回数やエレベータの稼働状態などを把握し、計画的に保守が行える状態を実現した。故障が発生する前に計画的にメンテナンスが行えており、メンテナンス要員の残業を大幅に抑止することに成功している。

Azureは各種IoT関連サービスを多数提供している。そのサービスの概要は以下となる。

  1. Event Hubsは数百万台のデバイスへの接続が可能で、数百万台/秒のイベントの受信・処理能力を持つ。
  2. Stream Analytisはデータ解析のサービスでデータをSQLクエリで精査する機能を提供。
  3. Machine Learningは機械学習のサービスを提供する、WebサービスとAPIインターフェースが存在し、作成した機能をWebサービスとして社外に公開できる。
  4. その他の機能もデモアプリやHow toも充実しており、APIも公開されている。

AzureではPwoer BI ServiceというSaaS型のデータ解析サービスを提供している。だが実は、ExcelにもPower BI Desktopというデータ解析の機能が存在する。簡単なデータ解析であればクラウドサービスは不要なので活用して欲しい。
Azureは試すだけなら非常に少額で利用ができ、IoTはWindowsでEnd to Endがすぐに実現できる。「Azureならすぐに試せる」を体験して欲しいとのことだった。


On SageMathCloud - Doing Mathematics and Python Programming on Cloud

Python札幌/数学勉強会@札幌/クラウド研究会@札幌 中村 良幸さんのご講演
企業組織ではなく、Python、数学勉強、クラウド研究を行うコミュニティーの主催をされている。発表の概要は以下となる。

Python札幌では合宿を含むなどの勉強会などのイベントを数多く行っている。本気でPythonを学びたい人がたくさん集まっているので興味のある方は参加して欲しい。

数学研究会ではコンピュータを利用して数学の問題を解くSageMathを利用している。パッケージは[SageMath]の公式サイト(http://www.sagemath.org/)からダウンロードが可能だ。ただし、SageMathはパッケージが大きく、インストールがそれなりに大変である。すぐに利用できるSaaSサービスとしてSageMathCloudが提供されている。

数式を入力するだけで、計算だけではなくグラフの作成まで自動的に行ってくれる。SageMathCloudについては[月刊I/Oの10月号] (https://www.kohgakusha.co.jp/io/ "I/O Oct")に中村さんが執筆された記事が掲載されている。


Dockerの概要、最新情報アップデート

CUPA(一般社団法人クラウド利用促進機構)の荒井 康宏さんのご講演
ンテナ型仮想化製品 Dockerの特徴や最新技術動向、Dockerに関連する運用監視ツール等の技術情報の紹介だ。概要は以下となる。

まずCUPAの活動のご紹介から。Dockerだけではなく、IoT Letterも公開されているので見て欲しい。

昨今、Dockerは各クラウドベンダーやLinux以外のOSでも正式にサポートが行われている。
* 2013年12月 Google Compute EngineがDocker、CoreOSの正式サポートとKurbernetes提供を開始 * 2014年4月 AWSがDockerを正式にサポートを開始 * 2014年6月 Microsoft AzureもDockerサポートとKubernetesの提供を開始 * 2015年4月 MicrosoftがWindows Server上のHyper-V Containerを提供しコンテナ型仮想化を実装

Docker環境のオーケストレータ製品も多数リリースされ、ここ1年半くらいで急速に進歩している。代表的な製品はGoogle Kuvernetes、Redhat OpenShift V3、Flynn、Apache Mesos、Rancherなどが挙げられる。
コンテナ型とXen、KVMの仮想化のとの一番の違いはコンテナ型はエミュレーションされた仮想マシンも使用せず、OSのカーネルなども個々には保持しない点である。

Dockerの主な特徴は以下が挙げられる。

  1. 主なLinux ディストリビューションで容易にインストール可能
  2. Dockerfileを利用した構成情報の記述(Infrastructure as Code)
  3. git likeな差分・世代管理
  4. コンテナイメージの自動管理
  5. 差分ファイルシステムによる実行時展開
  6. Linuxの標準機能を利用してプロセスレベルのマルチテナンシーを実現

Docker 1.7からは公式のDockerにオーケストレイト機能のMachine、クラスタリングのSwarm、アプリケーション自動設定のComposeが搭載された。

Docker 1.8ではコンテナイメージの署名となるContent Trust(DCT)、インストーラであるToolBoxも提供された。ただ、目玉機能であったnetworkに関してはリリースを見送られた。

最後にまとめとして以下を述べられていた。

  1. Dockerは、いま熱い!
  2. Dockerベースのパブリッククラウドサービスが標準化が進む
  3. マルチクラウド対応による最適化が実現する
  4. Docker運用管理ツール(オーケストレータの進化)が続く

Dockerの分散に関する手法の提案と SDN(OpenVnet)への対応

株式会社あくしゅ 山崎 泰宏さんのご講演

現在、多数の執筆活動、講演などをされている。国立情報学研究所、産業技術大学院大学で講師として教壇に立たれており、日経コンピュータなどに連載を持っている。講演の内容はあくしゅ社で開発したOSSのSDN製品のOpenVNetのDockerへの活用についてだ。述べられた概要は以下となる。

現在、あくしゅ社ではLGPL3.0でOSSとして公開している、データセンター仮想化製品のWekame-vdcとSDN製品のOpenVNetを提供している。開発は2008年から開始した、当時はOpenStackはまだなく、CloudStackも商用製品だった。OSSとしてクラウドオーケストレーションを実装した点でWakame-vdcは先駆者であった。

OpenVNetは2015年9月にVer 0.8をリリースした。エッジオーバーレイ方式の仮想ネットワークでOpenFlow 1.3に対応し、ブロードキャストドメインの制御によるL2接続を実現している。既にNTT com社、KCS社の本番環境にも導入された実績がある。最近のOSS製品とは異なり、ソースコードも少なく、実装もシンプルである。製品に加えて、CI環境構築ツールもセットで提供しており、本番、テスト環境でスクラップ&ビルドも行え、テストも完全に自動化できる。

 Dockerにも注目しており、開発者の未来を変えるような洗練された機能が存在し、無駄もない。1台で動くシンプルさやマシンイメージのコピーの時間が少なうことなど、トライ&エラーが増やしやすく開発環境として高いメリットがある。コアもlxc+aufs→ドライバ+プラグイン→Docker Hub→runCと変遷しており、クロスプラットフォーム化も進んでいる。runCは単なるコンテナ起動スクリプトでlibcontainerはコンテナを正しく作るライブラリとなっている。

 ネットワーク機能ではlibnetworkも開発されているが、まだ動くものではない。Dockerのネットワークに問題があると見る人々も多く、それを補うためのツール群がリリースされてきた。OpenStackでWrapするとDocker CLIが使えなくなる。Kurvernetesも同様。Docker Swarmは単一ホスト内でのみ有効と、どれも一長一短な状態となっている。

そこで、OpenVNetではまずベースとなる物理マシンを大きな単一のフラットなネットワークで接続が可能となるような実装を開発している。多数のサーバを1台のマシンとしてDocker 0が構築できる状態となる。

この環境はWakame-vdcとopenVNetで実装を予定しており、2015年度中には公開を予定している。 実証実験のプロジェクト Kuzilla(仮)も予定しており、参加者を募集している。最終的には複数のクラウド基盤をまたがるような大きな仮想データセンタを構築することを目標としている。


Dockerとインフラ運用自動化とIoT

TIS株式会社 松井 暢之さんのご講演
講演日の9/9(水)はご本人の誕生日で自らスライドで祝福。満場の拍手だった。

インフラの運用自動化と自動化ツールの紹介と、クラウドおよびIoTデバイスの運用の自動化についての講演。資料はこちらで公開されている。

現状のインフラ運用はエンジニアが複数名で手作業で実施し、管理者がチェックを行う形となっている。スクリプトなどを利用し、一部の運用の自動化は行われているが、まだまだ不十分である。手作業による運用はコマンドのミスや手順間違いなどで大きな障害となることも多い。そこでTISではインフラ運用の自“働”化の実現を目指している。Infrastructure as Codeの技術を活用し、いつでも正しく動作するテスト済みのスクリプトでインフラ構築の自“働”的に実施する。それによりミスや作業負荷を軽減すると共に、インフラ運用の手順のバージョン管理やCIを実現することが可能となる。

現在、各社よりこの運用自“働”化ツールが各種リリースされている。TISもOSSのCloudConductorというクラウドオーケストレーション製品を開発・提供している。

このCloudConductorの開発・テストにChefやServerspecやDockerを利用している。インフラのあるべき姿をコード化し、そのコードでインフラ構築を行うことで、インフラの冪等性を保障する。さらに構築した環境をServerspecで検証することでインフラのCIを実現している。テスト時にはTeck KitechenとDockerを組合わせることで、短時間かつ反復的にインフラのCIを自動的に行っている。

Docker環境ではDocker fileを使用することでインフラの自動構築が可能である。Docker fileには冪等性を保障する機能は無いが、そもそも必要としていない。この後Dockerを利用し環境を自動構築し、Serverspecでデモを行う予定だったが、ネットワーク不調で端末からインターネットに接続が行えなかった。

2014年からはIoTに世界中の注目が集まっており、2020年までには500億個のIoTデバイスがネットワークに接続されると予想されている。そのIoTデバイスの設定を手作業で行うことはありえないはずである。IoTにはクラウドオーケストレーションと同様のオーケストレーション機能が必要だが、集中管理型ではなく、デバイス側から自律的にあるべき状態にする機能が必須になると考えられる。

IoTデバイス側の自“働”化の機能の実装が必要で、各種運用自動化ツール、Dockerなどを、その運用に組み込むことが、より重要度を増していくと考えられる。


Mesosで作るDocker実行環境の共有

クリエーションライン株式会社 木内 満歳さんのご講演
DockerのオーケストレーションツールのApache Mesosとその商用版であるMesoshere DCOSの紹介だ。述べられていた概要は以下となる。

現在、DockerでKurbernetes以外でDockerコンテナ製品のクラスタリングが行えるツールとしては以下が挙げられ、それぞれの複数台+大規模利用の場合、Mesosに優位性がある。

  1. Docker Swarm : クラスタリングは可能だが同一ホスト内のみと限定的
  2. RANCHER : オーバーレイネットワークを無理やり作っている。同一拠点のみで利用可能で監視も目視飲み
  3. Mesos : 大規模構成で利用が可能

Mesosはカリフォルニア大学バークレー校から企業されたAMPラボで開発されている。商用製品としてMesosphere DCOS 1.1がリリースされているが、1万ノードまで拡張が可能で、ジョブの自動制御やタイムスケジュール制御も行える。

大規模導入事例としては旅行代理店のAirbnb、Twitter、AppleではSiriのバックエンドに採用されている。

MesosにはMarathonというクラスタリングツールとChronosというジョブ実行制御ツールが搭載されている。さらに自作のフレームワークも組み込むことが可能である。フレームワークはGo言語で作成する必要がある。

MesosクラスタではMarathon、Chronosに加えて、Torque、Spark、Hadoopもクラスタに組み込むごとが可能で、Mesosによって自動的に分散配置せることも、運用者が配置を設定することもできる。DockerへのJobの投入はDocker jobファイルで行われる。Docker hobファイルはjson形式で記述される。

クリエーションライン社は日本唯一のDocker社コンサルティング認定企業でありDocker関連のコンサルティングサービスを行っている。日本唯一のDocker社公認トレーナーも在籍しており、有償のハンズオンセミナーも開催している。次回予定は2015年10月の開催である。


ハイパーコンバージドインフラによる仮想化環境とストレージの進化

ニュータニックス・ジャパン合同会社 島崎 聡史さんのご講演
高速かつ高信頼性の分散ストレージ製品ニュータニックスの紹介だ。述べられていた概要は以下となる。

仮想化環境の現在の課題は、ハイパーバイザは進化しているが、その下にあるストレージはあまり変わっていないことである。ストレージの構成は複雑であり、非効率なサイロ化・分断が発生し、スケーラビリティにも制約が存在する。

その問題を解消する為、サーバ、SAN、共有ストレージを統合し単一のストレージとして利用できるハイパーコンバージドインフラが必要となる。ハイパーコンバージドインフラは一度構築してしまえば、拡張が容易であり、スモールスタートも可能で、ハイパーバイザから見れば1台のストレージでしかないため、運用は非常にシンプルである。

ハイパーコンバージドインフラを実現した仮想ストレージ製品である、Nutanixは現在、70か国、1400社以上に利用されており、分散仮想ストレージの分野ではシェアが52%と他社を圧倒しており、2014年には3億ドル以上の販売実績もある。Nutanixは2015年8月のGartnerレポートにてIT企業の中で、最も先進的で成長が見込まれる企業に選ばれている。

Nutanixは分散仮想ストレージのアプライアンス製品で、ストレージ各筐体のディスクコントローラを直接認識し、制御を行う。各筐体でのRaidは不要で、Nutanixが冗長化のポリシーに従い、ハードディスク単位にデータを自動的に分散配置する。データの配置もアクセス頻度を自動解析し、冗長化ポリシーを確保しつつ、データを使用する頻度の高い場所に近いロケーションに配置するように制御する。

Nutanixクラスタ上では、ストレージの制御を行うため、Controller Virtual Machine(CVM)を起動する必要がある。ハイパーバイザもVMware、Hyper-V、KVMなどに対応している。PCI Pass-throughの機能を利用し、サーバのディスクコントローラを直接認識し、LAN経由で他のCVMノードと通信を行い、死活監視とデータの分散処理を行う。CVMのアップデートも仮想ストレージの停止は一切発生せず、ローリングアップデートが可能となっている。かつアップデート中でも処理速度は一切、低下しない。

書き込みを高速化する為にローカルディスクに一旦書き込み後に別筐体に遅延書き込みを行う。

プライアンスの台数、ノードの台数を増やすとリニアに性能が向上する。さらにオプション製品としてAWSのS3などにバックアップを作成する機能も提供している。拡張も一旦、ノードを構成してしまえば、追加ノードに対して、管理ノードのIPを設定するだけで自動的に追加が行われる。

ストレージ製品のNeutanixとは別に仮想マシンのハイパーバイザ間に変換を行うNutanix XCPという製品も存在する。対応ハイパーバイザはKVM、VMware、Hyper-VでパブリッククラウドのAzure、AWSにも対応している。全てのハイパーバイザ、パブリッククラウド間での双方向の移行が可能で、GUIの操作のみで自動変換も行われる。Dockerにも対応しており、Dockerコンテナのデプロイ、自動分散配置も行え、ライブマイグレーションにも対応している。4サーバまで利用できるコミュニティー版も存在する。

現在、Nutanix製品を活用したブログコンテストを開始しているので、是非、Nutanix製品を利用したblogを投稿して欲しい、さらに勉強会も随時開催しているので公式サイトから申し込んで欲しいとのことだった。


まとめ

「オープンクラウドカンファレンス 2015」は企業の製品、サービス紹介が中心だった。全体的にSDxの利用がさらに拡大していくことが想像される内容が多かったと感じられる。

2日目の9月8日(火)の夜にCloud Week 2015@Hokkaido University 懇親会がビアケラー札幌開拓使 サッポロファクトリー店で行われた。200名を超える出席者があり、非常に盛大だった。懇親会からの参加者も多かった。普段、ステージ上でしか見ることのできない他社のエバンジェリストの方や、あまり機会のない学術研究者の方とお話しができるのは大変有意義であった。

次回はCloud Week 2015 @ Hokkaido universityの最後のイベントである、**「ITRC RICC 第8回地域間インタークラウドワークショップ] **についてレポートを行う。ご興味のある方はご一読を頂きたい。

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