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【イベントレポート】オープンクラウドカンファレンス 2015 (前編) (Cloud Week 2015@Hokkaido University)

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諸般の事情によりイベントから記事公開までの日程が空いてしまいました。申し訳ありません

2015年9月7日(月)~9月9日(水)の3日間、北海道大学にてCloud Week 2015が開催された。
本イベントは以下の3つのイベントの合同開催となっている。

  1. アカデミッククラウドシンポジウム2015
  2. オープンクラウドカンファレンス 2015
  3. ITRC RICC 第8回地域間インタークラウドワークショップ

前回の「アカデミッククラウドシンポジウム2015」のレポートに続いて、「オープンクラウドカンファレンス 2015」も前編・後編の2回でレポートをさせて頂く。

基調講演:Innovation at Global Universities by Amazon Web Services

グローバル公共部門 AWS アジア太平洋地域 ソリューションアーキテクトリーダ Douglas Lessさんのご講演
AWS全般から、教育、研究分野に対してどのようなサービスを提供しているのかを紹介する内容だ。 まずはアジアを中心としたAWSの利用状況についての紹介があった。

  1. AWSは世界中の政府機関、教育機関で利用されている。アジアでも急速に利用の拡大が進んでいる。
  2. セキュリティー要件に関しても、各国の政府機関、教育機関の基準に全て合格している。
  3. リージョンが多数存在することで、接続性の良い拠点が選択できるだけではなく、各種の災害に対応できる。
  4. サービスの提供量のスピードは加速度的に伸びている。2014年度は516件ものリリースを行った。
  5. 日本の東京証券取引所などをはじめとする大企業がSAPやOracleの実行環境にAWSを利用している。
  6. 高速な処理を求められるNASDAQや大容量データを利用するNOKIAなどもAWSを利用している。

続いて大学を中心とした事例の紹介があった。
1. アリゾナ大学、ノートルダム大学、ハーバード大学など多数の学術機関でAWSは利用されている。 1. 近畿大学はバックオフィスまで含めて全てのシステムをAWSに移行した。システムは100%完全に移行され、運用コストは30%以下に削減されている。 1. オーストラリア大学はOracleDBをAWSに移行した。Oracleのライセンスをパブリッククラウド上で利用できるのはAWSだけである。

さらに続いてAWSの教育支援プログラムの紹介があった。

  1. 現在、AWSを320万人の学生が利用するようになった。
  2. なぜ、AWSを利用するのか、それはコスト、効率、アクセスの良さ、セキュリティ、拡張性の全てに優れているからだ。
  3. さらにAWSを利用する為の教育支援プログラムも提供している。
  4. 潤沢なリソースと高速なネットワークの提供が可能で、各種調査や解析、データモデリング、グリッド・クラスタ・HPCに活用されている。
  5. 大容量データにも対応しており、将来的にはZBからEBまでのデータ容量を提供可能とする予定だ。


クラウド市場動向とNTTコミュニケーションズの次世代クラウドの展開に向けて

NTTコミュニケーションズ株式会社 林 雅之のご講演

NTT Comのクラウドサービス Coundnのご紹介だ。まずは林さんはクラウドエバンジェリストとして、クラウドに関する多数の執筆、寄稿をされており、日経コンピュータ、ITProなどのIT情報のインターネットサイトや、クラウド大全やEnterprise Cloudシステム構築ガイドなどの書籍も執筆されている。最近ではハイブリッドクラウドに関する執筆も多数行っており、有償で販売している日経テクノロジーロードマップも作成している。

今後もクラウド市場は成長を続けるが、クラウドベンダー自体は淘汰される時代となっている。その状況で日本企業で利用を拡大しているのはNTTと富士通である。NTTグループは、HfS Blueprint 2014の評価において、クラウドサービスの提供力と革新性で、その双方が高いWinners's Circleに位置付けられている。

国内のクラウド事業はプライベートクラウドの方がシェアが大きい。2014年もパブリッククラウドと比較すると、市場規模も3倍程度になる。ただAWSを中心とするパブリッククラウドの方が伸び率は高くなっているのも事実である。NTTグループはプライベートクラウドを主戦場としており、エンタープライズのマーケットでも大きなシェアを持っている。その中でもNTT comは国内シェア1位だ。 IaaSプロバイダの75%は今後、2年以内に淘汰される可能性が高く、サービスの永続性を選ぶなら安定した企業を選択すべきである。

クラウド市場は2019年には340億ドルのなると想定されている。これからクラウドへの移行を考えるアーリーマジョリティを取り込むことがシェア拡大の為に必須となる。クラウドベンダー間の協業も進んでおり、プライベートクラウドとパブリッククラウドを併用するハイブリッドクラウドの利用が拡大している。コストや利便性を考慮し、システムを最適に配置したいとうニーズも高まっている。クラウド上でシステム効率を高めるためには、システム自体もクラウドネイティブで開発することが必須であり、クラウドアプリケーションのニーズは今後さらに増大する。

クラウドで顧客を逃がさない肝は、データベースとメールだ。NTTは世界で4社目のクラウド上でのOracleのライセンスを利用できるベンダーとなった。NTTのクラウドであれば、オンプレミスのDBをそのままクラウド上に移行することができる。

クラウドOSはOpenStackとVMwareの両方を追いかけて行く必要があるが、CloudStackもまだまだ健在で安定性が高い。クラウドを活用する為のOSS製品も多数リリースされ、SDxによりクラウドが垂直統合化されつつある。

NTT comの今後の戦略は北米中心にグローバルでも戦っていく。次世代エンタープライズクラウドとして、ベアメタル、ホステッドクラウドも伸ばしていく、パブリックはOpenStackを中核とし、OpenStackのコントリビュタも大きく増員する予定だ。マルチクラウドサービスも2015年8月から提供し、AWS、Azure、Salesforceにも接続した。さらにNTTグループであることを生かし、クラウド間のネットワークを無料にする。11か国、14拠点を無料で接続するだけでなく、顧客のオンプレミスサイトにも安価な回線を提供する。

顧客のクラウドマイグレーションを支援する技術者も140名体制とし、円滑なクラウド移行を実現する。事業継続性、クラウドファースト、クラウドネイティブ、OSS、ハイブリッドクラウド、ホステッドクラウド全てに対応したNTT comの次世代クラウドを2015年12月に発表するので、是非注目して欲しいとのことだった。


データベースエンジニアからみた,エキサイティングなクラウド/ビッグデータ時代

株式会社インサイトテクノロジー 小幡 一郎さんのご講演

小幡さんのDBエンジニアから転職、インサイトテクノロジー社を起業をされた経緯についてのお話と主催されているdb tech showcaseについてのご紹介だ。現在はOracle ACE Directorとしてご活躍をされているようで、紹介されていた記事はこちらとなる。講演で述べられていた概要は以下となる。

元々は某有名企業でDBエンジニアとして日々、障害対応に明け暮れていた。限界を感じ始めたとき、Oracle社よりOrace Aceにならないかとのお誘いがあり、様々な審査を受けて、無事に合格した。Oracle Aceとして世界中のDBエンジニアと話をしていくうちに、DBエンジニアが本気で意見をぶつけ合うイベントを行ったら面白いのではないかと思いついた。

それでINSIGHT OUTを企画し、OracleやSQLServerなどのエンジニアを世界中から日本に招聘し、議論を戦わせるイベントを開催して非常に好評だった。現在はそれを発展させたdb tech showcaseを主催し、日本全国でイベントを開催している。

2015年9月10日~11日にdb etch showcase Sapporo Hokkaidoが開催されるとのご案内もあった。記事公開時点では既に終了しているが、イベントで行われたセッションの資料がこちらで公開されている。

現在、db etch showcaseに参加されいる方のアンケートの集計結果を公開されていた。Oracle、SQLサーバ、MySQLなどに加えてNonSQL系の利用も拡大しており、多種多様な製品が使用されていることが判った。それら市場に提供されているDBについて分類してみた資料も公開されていた。

『DBが好きな方は是非、db etch showcaseに参加してDBについて熱く語って欲しい』とのことだった。


全文検索エンジンElasticsearchとLogstash、Kibanaを含めたログ分析について ~オープンソースを活用したスケーラブルで高速な検索基盤の構築実績と事例、商用のプラグインなどの紹介~

elastic 社の日本法人であるelastic.co 大谷 純さんのご講演
全文検索エンジン ElasticsearchとLogstash、Kibanaの製品紹介だ。述べられていた概要は以下となる。

社名をErasticからErasticsearchに社名を変更している。オランダで企業された会社でHQはアメリカにも存在する。AWSのサービスと勘違いされることもあるが、AWSはcloud searchである。

まずは全文検索エンジンのElasticsearchから。Elasticsearchの基本機能はOSSであり、無償で利用が可能である。Wikipedia、WordPress、FaseBook、Github、MSN、はてなサーチの検索にはElasticsearchを利用している。全文検索に加えて、EXTRADE社はソーシャルメディアや顧客についての分析に、Bloombergはシステムのログ分析に利用している。

Elasticsearchの全文検索、保存、分析機能は以下のメリットを持つ。

  1. 分散、スケーラブル、弾力性、高可用性に対応
  2. 開発者向けのRestful-API、様々な言語向けクライアントライブラリを提供
  3. リアルタイムサーチの分析では集計、地理空間、データの構造化、非構造データの検索などを提供

オプション製品を利用することで、収集したデータを様々な用途に活用することができる。logstashはログデータの中から必要な情報を収集し、解析・整形を行い、地理コードなどの情報を付与することができるさらにfluentdのようにメトリック化し転送を行うことができる。さらにKibanaは可視化を強化する製品でリッチなグラフ表示や位置情報を地図上にプロットするなども行える。

さらに有償のプラグインとしてMarvel、Shield、Watcher、Beatsも存在する。これらをSaaSとして利用できるFoundのサービスも提供している。

2015年12月16日(水)にユーザカンファレンスも開催するので是非参加して欲しいとのことだった。


クラウドで実現する北海道の創生と最新事例

セールスフォース・ドットコム 保科 実さんのご講演
Salesforce社のサービス、地方企業の事例紹介、北海道での現状とパートナー戦略についてのご紹介だ。述べられていた概要は以下となる。

元々はOracle社からスピンアウトしたメンバーで起業された。2001年よりサービスを開始している。毎年30強もの売り上げの拡大を実現している。現在、世界では15万社が、日本でも8千社以上が利用している。それに合わせて日本も体制を強化しており、日本法人だけで800名以上の従業員となっている。

現在、サンフランシスコに本社ビルを建築中。ソフトウェア業界では世界第6位だが、成長率は他社を圧倒する1位である。VMwareでも11%の成長率しかない。

サービスをカスタマーサクセスプラットフォームとして提供しており、中小企業では1ヵ月未満。大企業であっても6ヵ月未満でカスタマイズを含めたサービスのインプリメントを実現している。

中小企業の活用事例の紹介として動画が3件公開された。

  1. 九州の大牧場の事例 : 販売、会計管理に加えて飼料から牛乳の生産量や牛の健康管理までSalesforceで実現している。
  2. 農業クラウドに事例 : 生産物の流通、品質管理に活用。品質では生産物である果物の糖度の測定や出荷、流通の管理までSalesforceで実現している
  3. 北海道の観光業の事例 : 社内向けに宿泊予約、顧客管理のシステムをSalesforce上で開発した。さらにその製品を同業他社にも提供することで、開発コストが利益に変わっている。

地方での利用者の支援の為に、Salsesforceでは継続的なサービスを提供している。サービスの利用だけではなく、地域事業者の新たな事業の創出や地域密着のフォロー、継続支援を行っている。さらに地方の自治体、大学とも連携し、地域密着のクラウド事業の展開や活動の推進を行っている。<BR>

北海道でも地域でのユーザフォーラムを7回も開催しており、受注も倍に増えている。それに伴い、地域のSalesforceのリセールを行うIT事業者も5倍に増えている。

北海道での事例紹介として、さらにもう1件の動画が流された。建築資材販売業の事例で、従業員の給与、労務管理から受注、生産量の管理、機材や運搬用のトラックの管理による効率化で大幅なコスト削減を実現している。

リセールを行うパートナービジネスも北海道で拡大している。CRMに付随する部分はユーザ企業側で開発が必要である。その部分ではパートナーが不可欠である。さらにパートナー企業が開発したアプリケーションをパッケージ化してSalesforce上で販売することも可能である。地方のIT企業を活性化にSalseforceを活用してほしいとのことだった。


Treasure Data : クラウド上に生きるその仕組みと事例紹介

トレジャーデータ株式会社 駒津 美都紀さんの講演。講演で使用された資料はこちらで公開されている。トレジャーデータ社の概要とサービス、トレージャーデータのアーキテクチャーのご紹介だ。述べられた概要は以下となる。

2011年にアメリカで起業された。現在、社員は90名ほどだが、2014年のCool Venderにも選出されるほど先進的で成長著しい企業である。大量データの収集、保管、解析を事業としており、OSSのfluentdやMessagePack、embulkも開発している。自社製品以外にも多数の製品、デバイスからのデータ収集が可能で、データの蓄積もRDB、Non SQL DBなど多数の製品が利用可能である。

現在、500億件のデータを持っており、3兆件/日の検索が行われている。SLAも99.99%を実現し、24d/365h完全無停止でサービスを提供している。国内でも大規模データの利用が必要となる流通、キャリア、ゲームメーカーを中心に多数の企業がサービスを利用している。

データはAmazon S3かS3互換のIDCフロンティア Riak CSに格納されている。その蓄積されたデータのキー情報の管理にはPstgreSQLを利用している。データの登録には、発生の都度格納を行うStreaming importとデータの塊(チャンク)を登録するBulk importが存在する。(詳細は上記URLの資料を参照頂きたい)

検索もデータの構成変更に柔軟に対応できるようになっている。数値データに文字列が入っていても、カラムを追加した為に既存データにNULLのデータが存在しても適切に補完が行われる。無停止を実現する為にBlue-Green Deploymentを実現しており、システムの停止を伴うことなく、システムの更新が可能な状態も実現している。

ビックデータの収集、保管、解析にはトレジャーデータを是非、利用してほしいとのことだった。


「オープンクラウドカンファレンス 2015」の前半部分は、各企業から地方企業向けに提供しているサービスの紹介が中心となっていた。後編では同様に企業サービスの紹介に加えて、コンテナ型仮想化製品のDockerをテーマとした講演をレポートする。ご興味があればご一読頂きたい。

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