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【イベントレポート】アカデミッククラウドシンポジウム2015 (前編) (Cloud Week 2015@Hokkaido University)

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諸般の事情によりイベントから記事公開までの日程が空いてしまいました。申し訳ありません

2015年9月7日(月)~9月9日(水)の3日間、北海道大学にてCloud Week 2015が開催された。
本イベントは以下の3つのイベントの合同開催となっている。

  1. アカデミッククラウドシンポジウム2015
  2. オープンクラウドカンファレンス 2015
  3. ITRC RICC 第8回地域間インタークラウドワークショップ

産学共催のイベントで大学、研究機関、企業からのクラウド技術を中心とした多くの講演が行われ、3日間の長さにも関わらず、非常に密度の濃いイベントだった。本イベントの概要を森元からレポートをさせて頂きたい。まずは最初に行われたアカデミッククラウドシンポジウム2015の前半部分からだ。

会場到着

東京の長雨が嘘のように快晴。イベントが開催される北海道大学に到着。大学でありながらクラーク博士像などがある観光スポットなので、学生の方にまじって、多くの観光客も訪れている。会場の北海道大学学術交流センターの前にポスターが貼られていたので、早速、記念撮影(をする松井さんを撮影)。

アカデミッククラウドシンポジウム2015 (前編) 9月7日(月)

主催者の北海道大学基盤センター長 髙井先生の開会のご挨拶の後、早速、講演が始まった。

『さくらのクラウド』を例にしたパブリッククラウドの作り方

さくらインターネット株式会社 横田 真俊さんのご講演。
「さくらのクラウド」のサービス紹介で、述べられていた概要は以下となる。

  1. ホスティングサービスと預託機材のハウジングも行っている。
  2. ホスティングで提供する仮想マシンのCPU、メモリの組み合わせの自由度が高い。(96バリエーション)
  3. ディスクも小容量は高速のSSD、大容量はHDDを組み合わせて提供している。
  4. クラウド環境を制御するAPIはフルスクラッチで作成している。

クラウド基盤やAPIなどをマルチテナントに提供しているため、高い信頼性と耐久性が求められる。その為、機材については十分な検証、特に性能限界以上の負荷をかけての検証をしっかり行っている。実際に動作を検証した結果のみを信じる、「カタログスペックは幻想」という言葉が印象的だった。

現在、公式サイトで初めてご利用の方に限り、「さくらのクラウド」の2万円分の無料クーポンを配布しているので是非、利用してほしいとのご案内があった。さらに、『フロントエンド部分の開発が得意な学生の方は、一緒に働きませんか?』との学生の方向け求人もされていた。


日立の考えるアカデミック分野における最適なクラウドサービス

株式会社日立製作所 高橋 明男さんのご講演。
日立クラウドソリューションHarmonious Cloudのご紹介だ。述べられていた概要は以下となる。

  1. スピード・柔軟、安全・安心・協創をコンセプトとしている。
  2. ハードウェアおよび運用・監視のプロダクトを全て、自社製品で統一しており、信頼性が高い。
  3. AWS、Microsoft Azure、Salesforceとシームレスに接続できる「フェデレーテッドクラウド」を実現。

アカデミック分野でも積極的に活動をされており、文部科学省の「アカデミッククラウドに関する検討会」にも参加されている。アカデミッククラウドには「変化への即応」「教育研究への専念(調達・運用負荷軽減」「コストの最適化」への対応が必須であり、Harmonious Cloudはそれに十分対応できるサービスであり、各大学、研究機関でもご利用を検討頂きたいとのことだった。

最後に「未来に向かって… 日立は技術を通じてアカデミッククラウドの栄光への架橋となりたい」という言葉で閉められていた。


デジタルビジネスの世界を支えるプラットフォーム

富士通株式会社 太田 雅浩さんのご講演。
こちらも、富士通パブリッククラウドサービス K5の特徴と優位性についてのご紹介だ。

パブリッククラウドサービス K5は以下には以下の大きな特徴がある。

  1. 業務システム~社会インフラまでを担う富士通の“知”を結集
  2. SoR(System of Record)への対応強化(スピード・品質・コスト耐性)
  3. SoE(System of Engagement)への新規対応(スケーラブル・アジャイル対応)
  4. トータルサポート(業務・アプリ・インフラ・運用)
  5. オープン技術を採用した自社開発

過去から集積された技術、業務知識を生かし、ロボット、IoT、機械学習などの先端技術も活用し、既存システム(SoR)から、先端技術のシステム(SoE)にも高速かつ柔軟に対応することを目的としている。

先に述べた日立製作所殿と同様に、ハードからソフトまでクラウドサービスで必要とするものは、全て自社製品で提供可能である。
さらに、OpenStackやDockerなどのOSS製品も活用し、自社製品の利便性をよりを高ている。昨今のInfrastructure as a codeの分野における目覚しい発展を生かし、富士通殿の技術をコード化を実現する。インフラ構築、運用からセキュリティー構築までソース化することで、信頼性と安全性の向上とコストの低減も実現できる。

K5とはK=Knowledge5=5大陸から命名されており、デジタルビジネスで世界を支えるプラットフォームとなる目標として命名されている。まだ、開発中の部分が多く、2015年以降の詳細情報は今後、公式サイトでも随時公開される予定とのことだった。


アカデミックな皆様のお役に立つ AWS最新情報

Amazon Data Services Japan 吉荒 祐一さんの講演で、Amazonのクラウドサービスの概要と教育機関向けのAWS Educateサービスのご紹介だ。
第一声が「このイベントは先生方や学生さんが多いと思いますので、お役立ち情報を出します」だ。これまでの講演が、自社サービスの紹介が中心だったことを受けてのご発言だろう。講演に使用した資料はこちらで公開されている。

まずは、Amazonクラウドサービスについてのご紹介。Amazonがクラウドサービスで非常に多くの追加機能をリリースしており、2014年までは年平均516件だったが、2015年は7月の初めで314件の機能をリリースしており、今年は過去最高を上回ることが予想されている。今年の10月初にAmazon最大のイベントがアメリカで行われるが、そこで大きな発表が行われるようだ。

Amazonはクラウドに関する研究や利益の創出にも大きな貢献を担っており、教育分野においては、学生や教員や教育機関向けにAWS Educateのサービスを提供している。教員・学生の方が個人で申し込んだ場合、教員:$75/月、学生:$35/月分のAmazonのクラウドサービスが無償で利用できる。ただ、教育機関として申し込んだ場合は、無償枠が拡大し、教員:$200/月、学生:$100/月分が利用できるようになる。

さらに個人での申込みの場合、教員・学生であることを証明する為に証明書の提示等の手続きが必要となるが、教育機関で申し込んだ場合、申込みメールアドレスのドメインが正しければ証明が行えるなど、手続き面のメリットも大きい。

さらに教員・学生の方向けの研修やイベントも無償で提供している。AWSを利用する為のホワイトペーパ類も充実しており、非常に多くのAmazonのクラウドサービスが比較的容易に利用できるようになっている。最後にAmazon Machine Lerningのデモも公開していた。GUIからの操作で基本的な機能が実装できるようになっており、サービスの利便性が高いことが感じられた。

教育機関でクラウドを授業や小規模な実験等で利用するのであれば、無償枠の範囲内でかなりのことが実現できると考えられる。教員・学生にとってもメリットは大きいが、学生が社会人になってからもクラウドサービスとしてAmazonを選択する可能性も高くなり、Win-Winを実現している。


Shibboleth IdPのサービスと認証強化

ファルコンシステムコンサルティング株式会社 角田 和明さんのご講演
各種デバイスや乱数を利用した認証製品「WisePoint Shibboleth-IdP」についてのご紹介だ。講演の資料はこちらで公開されている。述べられていた主な特徴は以下となる。

  1. 学術認証フェデレーションの認証連携システムの“Shibboleth-IdP”に多王
  2. イメージマトリクス、マトリクスコード、スマートデバイスなどの様々な認証機能の提供が可能
  3. 対話型の日本語パスワードも設定可能
  4. 二要素認証非対応サービスもリバースプロキシ製品で認証の統合が可能

製品紹介の後、ユーザ登録から認証機能用のイメージマトリクスなどの設定のデモも行われたが、基本的にはGUIからの簡単な操作で設定が行えるようだ。特に画像認証は初期登録の複数の絵柄に加えて、オリジナル画像も使えるカスタマイズができる。日立電線ネットワークス社と協業で“Shibboleth-IdP”対応の認証基盤のクラウドサービスAccount@Air+も提供しているので、学術機関のSSO導入の際には、利用を検討頂きたいとのことだった。


ハイブリッドクラウド利活用におけるITリソースの最適化 ~PrimeCloud Controllerによるクラウドマネージメントのアプローチ~

SCSK株式会社 浅野 佑貴さんのご講演。
まずはSCSK社が教育機関向けに提供している大学向け総合ソリューションの「Dream Campus」やソーシャルラーニングの「Blackboard learn」「BeeDance」など教育支援ソリューションのご紹介があった。

メインはOSSのクラウドオーケストレーション製品PrimeCloud Controllerご紹介で、述べられていた概要は以下となる。

  1. 多数のクラウドに対応しており、サーバの構築・運用を一元管理できる。
  2. 仮想化基盤としてVMware、OpenStack、CloudStackに対応し、パブリッククラウドではAWS、NIFTY Cloud、IDCフロンティア、NTTCom CloudN、USiZE netX Cloud、MicroSoft Azureにも対応している。
  3. サーバの構築だけではなく、サーバ内部の設定やプロダクトのインストールまで自動化を実現している。
  4. OSS化されており、主要機能は無償で利用できる。

元々は商用製品として開発され、多数の本番導入事例を持つ本製品だが、2014年10月にOSSとして公開することとなった。そのOSS化の主な狙いは「ハイブリッドクラウド市場の醸成」、「ユーザ要求や稼働状況の分析を行い、製品の改善につなげる」、「SCSK社の他製品やサービスの配信による利用拡大」ことだ。将来的には利用者のITサービスへの要求を元に、システムやセキュリティを含めて自動的に設計・構築まで行える状況を実現することを目標としている。

最後に『PrimeCloud Controllerはハイブリッドクラウド環境と、運用の自動化を実現。安心・安全なIT環境の実現を目指しています。』とのスローガンで締められていた。


次世代クラウドにおけるネットワークサービスインフラとは

シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社 犬塚 昌利さんのご講演。マルチテナントのクラウドに対応したネットワーク製品のCitrix Netscalerhttps://www.citrix.co.jp/products/netscaler-application-delivery-controller/platforms.htmlご紹介だ。講演の資料はこちらで公開されている。シトリックス社はCitrix Xenなどのサーバ仮想化やVDI製品で有名だが、ネットワーク製品ベンダーとしても老舗で15年もの実績がある。述べられていた概要は以下となる。

  1. パブリッククラウドのサービスの提供を実現する為に開発されている。
  2. マルチテナント、マルチサービスの環境でのセキュリティーとオーケストレーション機能を提供。
  3. MPX、VPX、SDXの3つのモデルで提供。MPX:Netscalerアプライアンス /VPX:NetcaclerVM(仮想マシン) / SDX:Netscaler VMを多数搭載できるアプライアンスとなっている。
  4. ネットワーク接続に加えて、ロードバランサ、WAN高速化、セキュリティ、VPN、モバイル機能、SDNの機能も搭載することが可能

マルチテナント、マルチサービス対応を実現する為に、ロードバランサはLBaaS(Load Balancing as a Service)の機能も実装している。1つのグローバルIPでアクセスされてもURLから判断して振り分けを行うことも可能だ。さらにVPNアクセスについてもテナントごとに設けることも実現している。

 Citrix社のサーバ仮想化製品としてCitrix Xenを提供しているが、オーケストレーション機能としてはMirantisと連携し、OpenStackへの対応も行っている。プラットフォームを共有するマルチテナント、マルチサービスが多い学術機関で、是非、ご活用を頂きたいとのことだった。


ソフトウェア管理や配布を効率化するクラウド製品ご提案

内田洋行株式会社 舘野 康彦さんのご講演。
大学や研究機関を含む組織のPCやソフトウェア等のIT資産管理を行うクラウドサービスのASSETBASEのご紹介だ。昨年の講演の資料がこちらで公開されている。述べられた製品の特徴は以下となる。

  1. SaaS/ASP側のIT資産管理サービスでSaaSサービスでもオンプレミスでも利用可能
  2. PC(Windows/Mac)、タブレット、スマートフォンにも対応
  3. ハードウェア資産、ソフトウェア資産、利用者の情報を自動収集・管理

追加機能として利用が可能なソフトウェア配布提供システムDownload Stationについても、ご紹介があった。述べられた製品の特徴は以下となる。
1. 利用者のソフトウェアのダウンロードとインストールを管理 1. インストーラやインストールメディアを管理 1. インストーラをラッピングして第3者への利用を負荷にする

この機能を組み合わせることで、組織として利用するIT資産が適正に利用される状態が実現でき、管理負荷も軽減さえる。ライセンスの不正利用による社会的信用失墜や訴訟のリスク、不正なソフトによる情報漏えいの抑止にも大きな効果があると考えられる。

既に多くの教育機関で導入されている。さらに他システムへの連携を行うようなカスタマイズも可能である。当日の発表では、某大学の会計システムと連携し、ライセンスを自動登録する事例が紹介されていた。


アカデミッククラウドシンポジューム2015の前半部分は、各企業から大学・研究所などの学術機関向けに提供しているサービスの紹介が中心となっていた。後編では学術機関での研究成果などの発表を中心にレポートを行う。ご興味があればご一読頂きたい。

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